プロジェクトストーリー #01
フィリピン初となるCO2冷凍機で熱帯地域の食を守る
フィリピン初となるCO2冷凍機で熱帯地域の食を守る
Project
Story

PROJECT MEMBER

  • 写真:R.Nabeshima
    A.Nabeshima
    海外事業担当営業
  • 写真:H.Kuroishi
    H.Kuroishi
    機械設計担当
  • 写真:S.Tanaka
    S.Tanaka
    電気設計担当
section01

食品冷凍技術の革新と低炭素化に協力

コールドチェーンに課題を抱えるフィリピン。その発展を目的に、国連工業開発機関(UNIDO)や自然冷媒国際会議(ATMOsphere)などの協力で、マニラ郊外に技術訓練施設「CCI-Hub」が設立された。日本熱源システムは、2023年1月に同施設にCO2冷凍機のテスト機を寄贈した。
このプロジェクトで持ち前の語学力を発揮し、製品輸出や通訳業務等に手腕を振るった鍋島は「UNIDOが国内500台以上の導入実績を高く評価してくださり、講習やトレーニングに使える実機の提供依頼がありました。当社製品が国外に活躍の場を広げ、フィリピンの技術革新にも貢献できることに喜びを感じました」と当時を振り返る。
東南アジア展開への足掛かりを築くべく、CO2冷凍機の設計開発の中心人物である黒石と田中、そして鍋島が、社長の原田より任命を受けてプロジェクトは始動した。
「フィリピンは日本の真夏が一年中続くような気候。未知の条件だが、北海道から沖縄まで異なる環境下でお客様の様々な要件に応えてきた黒石、田中がいるので心配はありませんでした」と鍋島は二人の技術者に絶大な信頼を寄せる。
それでも、現地施工に対しては拭いきれない一抹の不安があったという。

section02

現地パートナー企業との共闘

フィリピンで施工を担当したのは、CCI-Hubに集まる他社製品の設置も手掛けるCold Front(CF社)。日本熱源システムがショーケースビジネスを立ち上げた2019年2月に、同社から施工技術の指導を受けた経緯があった。
「CO2冷凍機は圧力が高く特殊かつ複雑な技術が求められ、国内の施工業者でも最初の数回は手厚い指導が求められます。CF社の技術力は確かだが、CO2冷凍機を初めて取り扱うため正直不安はありました」
それだけに鍋島は抜かりなく密にCF社とコンタクトを取り続けた。
「英文で施工要領書を作成し、現場工事についてはSNSも活用して詳細の指導を実施しました。黒石は技術解説を英語で行い、CF社の課題や要求は私がヒアリングしてから社内に展開するため苦労や手間は多かったものの、納得のいくコミュニケーションが図れました」
黒石、鍋島が現地立ち合いのもと行われた試運転。CO2冷凍機は問題なく稼働し、冷凍庫内は設定どおり-25℃に保たれていた。
「我が社の技術・製品情報を正しく伝える立場として、自分が会社の看板を背負うつもりでやり遂げる」
熱い思いで取り組んだ鍋島は、予定どおり納入を終えて、ようやくプレッシャーから解放されていたのだが…思いがけない形で、このプロジェクトはまだ続いていくことになる。

section03

テスト機の完成式典で、早くも商談

2023年1月、CCI-Hubでテスト機のオープニングイベントが行われた。「我先にテスト機に入っては『とても寒い!』『良く冷えてる!』とニコニコしながら出てくる姿が印象的でしたね」フィリピンの受講者たちに目を細める鍋島のもとにフィリピン大手Glacier Megafridge(グレイシア社)から早くも引き合いが舞い込んだ。小規模倉庫の設備をCO2冷凍機に入れ替えたいという要望だった。
「実用機ならではの難しさはあるものの、テスト機と同じ機械を使えたので特に心配はなかったのですが…助成金制度に期限があるため納期がかなりタイトで、滋賀工場の製造チームには本当に頑張ってもらい、頭が上がらない。そのうえ製品が税関をスムーズに通らず大変でした」
海外プロジェクトならではの洗礼を受けながらも、実用機は期日どおり納入され、その後も安定した冷却性能・省エネ効率を達成している。

CO2冷凍機が東南アジアの気候に適した能力をもつことを証明し、フィリピンにおける施工・サービス、拡販体制も構築した日本熱源システム。これから東南アジア各国への展開をますます加速させていきます。

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