PROJECT MEMBER
- S.Murakami取締役 滋賀工場長
- K.Urano東京営業部 営業Ⅰ課
取材内容は2024年10月当時のものです

日本初となる産業用CO2冷凍機
2012年に開設された滋賀工場。この工場で、日本初となる産業用CO2冷凍機の製品化に成功する。
CO2冷凍機開発の中心人物であり、現在は工場長として生産本部のリーダーを務める村上は、「何基もの試作機を作り、実証実験を繰り返しながら製品化に成功しました。当初は、年間に3、4台を納入するレベルでした」と振り返る。思いのほか販売数が伸びず、そもそも日本では知られていないCO2冷凍機をどうPRすべきか悩んでいた。
「当時から工場見学を実施し、自然冷媒のメリットをお客様にお伝えしていたのですが…。国内の導入実績がほぼないだけに、海外の事例を紹介せざるを得ませんでした。お客様をお連れしてヨーロッパでCO2冷凍機の稼働状況を視察したケースもありました」
フロン規制の強化とSDGsの浸透もあり、フロンガスから自然冷媒へ切り替える企業も増えていく。CO2冷凍機の販売も順調に伸びていった。そして、CO2冷凍機の能力アップやラインアップ拡充が進み、滋賀工場の改修・増築が計画された。

導入効果を体験できる工場見学ツアー
工場のリニューアルにより生産能力が約3倍に拡大、年間300台の製造が可能になった。また、増産体制とともに強化されたのが、工場見学の受入体制だった。
「社長の原田が描いていたのは、CO2冷凍機を知らないお客様にも、その性能が伝わる体験型の工場。その考えを実現させるために、設計・製造・実験・監視施設を集約し、見学ルートにも配慮して建屋が設計されています」
2023年3月にリニューアルされた滋賀工場は1号館から3号館までの動線が繋がり、村上と担当営業が一緒に工場内をご案内するお客様見学ツアーが実施されるようになった。
多い時は1日3組以上のお客様が見学に訪れる滋賀工場。そこに、工場特有の騒音や臭い・汚れはない。清潔かつ整然としたスペースに、製造中の冷凍機がいくつも佇むように見える。
「部署ごとに毎日15分程、必ず全員参加で掃除の時間を設けています。お客様にも『清掃や整理整頓が行き届いている』『従業員の挨拶が気持ちよい』とお褒めの言葉をいただきます」と村上は笑顔で答えた。
見学ツアーの特長について、「滋賀工場では、製造中の自然冷媒冷凍機を間近で見ながら内部構造まで確認できます。他社ではあまりオープンにされない試験室や冷凍冷蔵実験室、遠隔監視室もご見学いただくことで、当社の生産体制や技術力を一通りご理解いただけると思います」と村上は語る。
「試験室でCO2冷凍機が実際に稼働している様子をご覧いただき、その実機によって冷やされている実験室庫内の温度を体感されると、当社製品の性能に納得していただけます」
「部品庫をご案内しながら、導入後のメンテナンス体制についてお伝えします。これもお客様の安心につながっていると実感します」
これからも滋賀工場では、見学ツアーを通じてお客様の疑問や不安を取り払い、CO2冷凍機への理解を広げていく。

お客様の納得、新しい商談につながる
株式会社草津倉庫様は、滋賀県内に本社・営業所を構え、多様な倉庫の運営や文書保管、流通加工などを手掛ける物流倉庫会社。日本熱源システム滋賀工場の見学会にご参加いただき、CO2冷凍機を導入いただいた経緯を名神営業所 所長のY様と総務部 H様に伺った。
「倉庫協会のイベントで滋賀工場の見学会に参加した時に、初めてCO2冷凍機を知りました。当時はまだ馬力の小さな冷凍機しか製造されておらず、選定とまでは至りませんでした」とY様。何台も冷凍機を置けば、貴重なスペースが潰れる。倉庫会社にとって冷凍機の省スペース性は重要な選定ポイントなのだ。
Y様が再び滋賀工場に足を運んでくださったのは数年後。使用されていた他社冷凍機にトラブルが生じた際に、当社にお問い合わせをいただいた。
「2030年に向けたフロン規制の強化と、漏えい時の報告義務やリスクを考えると、フロン機を修理する気にはなれなかった。今後に不安を抱えるだけですからね」とY様。「工場見学に行くと、今度は冷凍能力の高いCO2冷凍機が稼働していて『これ一台で解決できる』と光明が差す思いでした」
フロン機のトラブルの他にも、草津倉庫様が抱えていたお悩みがクーリングタワー(水冷式冷凍機に必要な冷却水の循環装置)だ。
「冬になると枯れ葉が混入して、冷凍機がダウンしてしまう。また、水中のシリカ等が固まって建屋や設備を汚すので、水冷式から空冷式に転換したいと考えていました」とH様。
他社製品との比較検討の結果、スーパーグリーンSG-F2を導入。Y様は選定理由について「遠隔監視は非常に心強く、万一トラブルがあっても全部の部品の在庫が揃っていて即時対応してもらえる。さらに、環境省の補助金申請をサポートしてくださることも魅力的でした」と語ってくれた。
当社の担当営業である浦野は、「私にとって草津倉庫様のプロジェクトは、入社後初めて一から補助金申請の資料作りをお任せいただいた思い入れのある仕事です。工事完了まで現場で見届けて、納入後もCO2排出量や省エネ性に関する実績報告書の作成まで一貫して一人で担当させていただき貴重な経験になりました」
スーパーグリーン導入の効果について伺うと、「庫内温度の安定や省エネ効果を感じています。配管が驚くほど少なくなり、庫内の省スペース化が図れました。何よりフロンや水冷式に対する心配事がなくなり、気が楽になりました」とY様。
「工場見学で『お客様によるメンテナンスの必要はない』と説明を受け、半信半疑でしたが、本当に何もしなくて良い。納入から5年経っても、部品交換もなければ、何のトラブルもない」とH様。
1台目の導入に続き、冷蔵・冷凍倉庫にスーパーグリーンSG-F3DTを導入いただいた草津倉庫様。その環境保全に配慮した事業運営に、当社2台のCO2冷凍機が貢献している。
製品・技術の理解を深める工場見学ツアーと、ご要望に合わせたきめ細やかな営業活動を通じて、これからも日本熱源システムはCO2冷凍機の普及拡販を進めていきます。